「経営の相談役」なら税理士

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「コンシリエーレ」とは、マフィア映画の世界で使われる言葉で、ボスの傍らで冷静な助言を行う参謀役を指します。誰にも話せない内情を共有し、感情的にならず論理的に最善手を示す存在です。経営の文脈でこの役割に最も近いのが、顧問税理士です。

もっとも、「税理士=申告書を作る人」という認識で止まっている経営者は少なくありません。それは税理士という職業の一側面でしかなく、本来の機能を半分も活用できていない状態です。本稿では、税理士が経営においてどのような機能を持ちうるのかを整理します。


目次

税理士にしかできないこと

まず前提として、税理士の独占業務を確認しておきます。

税理士法第2条により、税理士業務とは「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つであると定められており、これらを業として行うことができるのは税理士(または税理士法人)のみです。無資格者がこれらを行った場合は税理士法違反となり、刑事罰の対象となります。

  • 税務代理:税務署への申告、不服申立て、税務調査における立会いや主張・陳述の代理
  • 税務書類の作成:確定申告書、法人税申告書、修正申告書など税務官公署へ提出する書類の作成
  • 税務相談:租税の課税標準等の計算に関する具体的な相談への回答

経営判断の多くは税務と不可分です。役員報酬の設定、経費の区分、M&Aの手法選択、事業承継のスキーム、資産の保有形態——これらはすべて課税に直結します。「どちらが得か」という問いに合法的かつ専門的に答えられるのは、税理士だけです。


財務数値を読み解く伴走者

経営判断の質は、財務情報の読み方に左右されます。

月次の試算表を見て「売上は上がっているのに手元に現金がない」という状況に気づけるか。借入過多になっていないか。利益は出ているが税引後キャッシュフローはどうか。こうした問いに継続的に付き合えるのが、顧問税理士の実務的な価値です。

大企業にはCFO(最高財務責任者)がいます。財務の専門家を社内に置き、経営者の意思決定を財務の視点からサポートする役割です。しかし中小企業でCFOを雇用することは現実的ではありません。顧問税理士はその代替機能を担いうる存在であり、経営者が本業に集中するための財務的なインフラとして機能します。

また、税理士法第33条の2に基づく「書面添付制度」を活用することで、申告書の信頼性を公的に担保することができます。この制度は金融機関も重視しており、資金調達の局面で有利に働くケースがあります。


資金調達・補助金・事業承継

節税や申告業務にとどまらず、税理士が関与できる領域は広くあります。

資金調達では、融資申請に必要な試算表・決算書の質が審査に影響します。税理士が作成・関与した書類は信頼性の面で有利に働きやすいです。

補助金・助成金は、事業計画書の作成が必要なものも多く、財務的裏付けの観点から税理士が支援できる場合があります。ただし、補助金申請の主担当は行政書士や中小企業診断士が担うことも多く、税理士が単独でカバーするかどうかは事務所によります。

事業承継は、株式評価・贈与税・相続税・組織再編税制が複雑に絡み合う領域であり、税理士の専門性が最も発揮されるテーマのひとつです。後継者への株式移転、持株会社化、M&Aによる第三者承継など、選択肢ごとの税負担の違いを定量的に示せる専門家は限られています。


「顧問契約=なんでも相談できる」ではない

ここで重要な注意点があります。

顧問税理士と契約していれば何でも相談できる、と考えるのは誤りです。顧問料はサービス範囲の対価であり、何が含まれて何が含まれないかは契約内容によって異なります

顧問料の相場は法人で月額3〜5万円程度とされていますが、同じ金額でも事務所によってサービス範囲は大きく異なります。月次訪問の有無、相談対応の回数・深度、月額に記帳代行が含まれるかどうか、さらには節税提案・融資サポート・事業計画の支援まで含むかどうかは、事前に確認しなければわかりません。

記帳代行・給与計算・年末調整・経営者個人の確定申告などは、基本顧問料に含まれず別途オプション料金が発生するケースが多いです。また低価格帯のプランでは税金計算が主となり、経営相談や提案型のサービスには追加費用が発生することがほとんどです。

要するに、顧問税理士との関係は「契約すれば終わり」ではなく、「何を依頼するか」を経営者が能動的に設計するものです。

金額だけで選ぶと、自社が期待していた経営サポートが範囲外だったという認識のズレが生じやすくなります。契約前に「月額に含まれる業務」と「追加費用になる業務」を明示的に確認することが必要です。


数字の外にある価値

税理士の価値は、数値に現れないところにもあります。

経営の意思決定には、誰にでも話せるわけではない情報が伴います。資金繰りの不安、役員間の関係、後継者問題、個人と法人の資産配分——こうした話を守秘義務のある専門家と定期的に話せる環境は、経営者にとって想像以上に重要です。

税理士には税理士法第38条による守秘義務が課されており、業務上知りえた秘密を他に漏らしてはならないとされています。これは職業上の義務であり、経営者が安心して内情を開示できる法的な根拠になります。


コンシリエーレを機能させるために

顧問税理士がコンシリエーレとして機能するかどうかは、税理士の能力だけでなく、経営者側の使い方にも依存します。

定期的な面談の場で財務数値だけを確認して終わりにしている経営者と、経営上の課題を積極的に持ち込んでいる経営者とでは、同じ顧問料を払っていても得られるものは大きく異なります。専門家は問いがなければ動きません。

また、税理士一人がすべての領域をカバーできるわけではありません。法律問題は弁護士、労務は社会保険労務士、許認可は行政書士という連携が必要になる場面もあります。

税理士は「財務・税務の最前線」の専門家であり、それ以上でも以下でもありません。その認識のうえで、自社の状況に合った関わり方を設計することが、顧問契約を活かす唯一の方法です。


まとめ

経営のコンシリエーレは、戦略を立てるのではなく、経営者が最善の判断をするための材料と視点を提供する存在です。税理士はその機能を担いうる職業であり、使い方次第で経営の質を変えます。ただし、それは契約書に自動的に付いてくるものではありません。

経営者自身が主体的に専門家を活用する必要があるのです。

「税務」のコンシリエーレ

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【政治資金監査人登録番号】6390

■資格・認定■
税理士
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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